1998年に発売されたSR-007(Ω2)の後継モデル。
9年の歳月をかけて、ついに型式変更を伴うバージョンアップがなされた。
SR-007との主な変更点は、イヤーパットの材質。
これまでの人工皮革から本皮に変更になったようだ。
また、デザイン面もシルバーと黒を基調としたモダンなものに変更となっている。
イヤーパットの材質が変更になったことに伴い、装着感の向上がまず挙げられる。 007の人口皮革に比べ、イヤーパットの弾力性が増し、装着時のフィット感が増している。 但し、夏場に蒸れそうな点は変わらない。 ケーブルにも若干の違いが見られるが、この点は特に気にする必要はないだろう。
まず一聴して感じられるのが、低域の質感の大幅な向上。 007では量感はあれども薄く、締まりが今ひとつ物足りない低域にやきもきしていたが、 007Aでは見事に改善されている。ぐっと沈み込む低域の制動が、なんとも心地良い。 GS1000やHP-DX1000に似た鳴り方。全般的に音に芯が通った印象で、ひとつひとつの楽器の存在感が向上している。 007が一枚ヴェールをかぶっているようにすら聴こえる。
ヴォーカルの分離感や曇りのないシンバルの音など、007ではもう一歩だったヴォーカルものやロックでも かなりのパフォーマンスを発揮する。得意ジャンルがクラシックであることに違いはないが、 ジャズやポップスでも文句のないパフォーマンスを発揮するだけのポテンシャルを秘めている。 芯が通りしっかりした音場表現になった反面、007で感じられた“どこまでも音が広がり柔らかく消えていくような感覚”を 得られにくくなった。クラシックやヒーリングミュージックでは、SR-007ならではのあの感覚を恋しく思うことがある。
SRM-727AとSR-007の組み合わせでは、CDソースで聴いたときの音の薄さと力感の不足が気になっていたが、 SR-007Aのエネルギッシュで自然な音を聴いてみて、初めてSRM-727Aの良さを実感できた。 力強くも澄み切った自然で美しいこのサウンドは、この組み合わせならではとも思う。 広がりや暖かみのある音を求めるならばSRM-007tAのほうが良いのかもしれない。
これまで私の中では、オールマイティーな組み合わせといえば、HD650+ZU+m902だったが、007Aの登場でそれが覆された。 ヘッドフォンの最高峰と呼ばれるモデル、今回のバージョンアップでいよいよ隙がなくなったようだ。