GRADOのニューフラッグシップモデル、GS1000。 従来のGRADOヘッドフォンに比べ、かなりハウジングが大型化されている。
この大きさとしてはかなり軽量で、装着感も良好。 イガイガイヤーパットに慣れていない人はその感触に戸惑うかもしれないが、慣れてしまえば問題ない。 BEYERのパッドのような耳を優しく覆う付けごこちの良さはないが、長時間の着用も特に問題ない。 これまでのGRADOイヤーパットの装着感に馴染めなかった方でも、これなら問題ないだろう。
基本性能はRS-1を凌駕する。 RS-1は、他の同価格帯モデルと比較するとFレンジの狭さが目立っていたが、 GS1000は超低域から高域の高いところまで、相当伸びる。 私がこれまで聴いたヘッドフォンの中でも最高クラスのレンジの広さだ。 PS-1も相当の性能だが、特に高域の伸びに関してはGS1000が上回っているように感じる。 解像度は極めて高く、特に低域の質感は見事。 ヘッドフォンでベースの弦の振動まで忠実に再現できる数少ないモデルだと思う。
ドライバーから耳までの距離が少し離れている為、音場は従来機種よりかなり広くなった。 Fレンジの広さや音抜けが良いことも相まって、大編成オーケストラでも音場の窮屈さは感じない。 ただ、音の線が細いので、重厚感の面ではΩ2やHD650、DX1000に劣る。
音場の立体感は見事の一言。PS-1の目の前に浮かぶような空間表現を大きくした印象。 一つ一つの定位がビシっと決まるのはPS-1だが、GS1000は木のハウジングが一つ一つの音を滑らかに つなぎ合わせ、独特の暖かい余韻を与えている印象。 RS-1に似た雰囲気を感じるが、まろやかさではRS-1が勝っている。
音の線は細く、密度感もL3000やEDITION7に比べて薄い。K501やMDR-SA5000のイメージに近い。 SACDではソースの情報量を存分に堪能できるが、逆にMP3のような圧縮音源では、音の粗が目立ちやすい。 ソースによってはCDでも音の薄さが気になることがある。 アンプや電源、ケーブル等の影響を大きく受けるので、音の繋がりや力感を重視したセッティングにすることをお勧めする。
得意ジャンルはヴォーカルもの(特に女性ヴォーカル)、ジャズ、小編成クラシック。
エージング前は高域が暴れていて、ハイ上がりで耳に痛い音だったが、鳴らしこむことにより、 だいぶ音質は改善する。音が落ち着いてくるまで70〜100時間程度は必要だと考えたほうが良いだろう。 しかし、しれでもソースによっては高域のキツさが気になることがある。
耳からドライバーまでの距離があるため、エージングが進んでも、物理的に少し高域がキツくなってしまうのは否めないところ。 この点はQUALIA010とも共通点があるのではないか、という意見を耳にする。 評価に賛否両論が別れていることもあり、高級機の第一歩としての購入はお勧めしない。 だが、環境とソースがはまれば非常に魅力的な機種である。