

まず初めに装着感について。約1時間程で頭頂部に耐え難き激痛が出現するため、 GRADOよりも長時間リスニング(1時間以上)には不向きでしょう。ただし約一1時間までは良好。 イヤーパッド以外の作りはチープ(下位機種と同一)で、とても高級機種には見えませんし、 鏡面のハウジングはすぐに傷がつきそうで慎重な扱いを必要とします。モチモチとしたイヤーパッドは体験する価値ありの気持ちよい肌触り。 このモチモチで肌に吸い付いて耳との間に隙間を作らないイヤーパッドは、音を外に逃しにくく低音の増幅に多少貢献しているようです。 ハウジングを手に持って耳からちょっとでも離すと低音の量感が減ることから確認できるので試しにやってみてください。 要するに音が抜ける隙間ができれば確認できるので、下方部分をちょこっと上げて隙間作るだけでOK。 耳との間に隙間ができると音が抜けていき低域の量感が減り面白いです。
バランスは多少ドンシャリ気味に感じるが極めてフラットに近いです。低音が非常に濃密、 そして高音が刺激的なためドンシャリに感じるかもしれませんが、全体から量的に見ると低域と高域が特別張り出しているわけではありません。 高域は刺激的で、ソースによっては刺さるような痛さを感じることもありますが、金属的な音を求めるならこの特徴は生きてきます。 低音と高域が特徴的で目立つため、中域は多少ではあるが引っ込み気味に感じます。低域は濃厚でありながらタイト、 制動が効いていて解像度が高く、実体感が抜群、素晴らしい低音を聞かせてくれます。 この質の高い低音がedition9の最大の売りなのだと私は感じました。この低音の質と同レベルで際立っているのが音の分離具合でしょう。 これほどまでに音が詰った濃い音象でありながら、それぞれの楽器の音がしっかり分離して聞こえる点は驚かされます。
edition9は我慢のヘッドフォン。序盤のわかりやすいエージングによる変化とは別に、 おそらく300時間ぐらい(環境や音量、ソース等により個人差あり)までにかけて徐々に徐々に少しずつ変化するように思います。 この変化を境にedition9は生まれ変わると私は断言します。以後説明を簡略化するため、この変化前をe9-1、変化後をe9-2とします。 e9-1はモニターヘッドフォン的、e9-2は音楽的ヘッドフォンといった感じでしょうか。 しかし、これだけ長時間かけてこれほど変化を見せる機種があるとは・・・驚きでした。 変化の内容を簡単に言えば、よく言われる「団子状の音が少しずつほぐれていく」という変化が、 edition9の場合かなりの長時間かけて行われるということ、また序盤の状態(序盤と言っても相当長い間です)とこの変化後とで驚くほど違うということ。 変化の度合いは人によって感じ方が違うと思いますが、私の感覚では非常に大きな変化だと感じました。
e9-1で気になるのが音場の明確さであり、それによってより強く感じる音場の狭さ。 かなりの長い時間「頭内の狭い範囲内で空間を形成し、音が外方向へ向かって広がっていく感覚を味わえず、外郭がガッチリと存在し、 その中での小空間で鳴る印象の状態」が続きます。しかし長時間のエージングによって、この外郭、壁が消える(薄まる)ように私は感じました。 言い換えるなら音がほぐれたと言えるでしょう。この壁が消えてからがedition9の真骨頂です。空間の窮屈さ、 閉じ込められている感覚から開放され、自然な広がりを感じる空間表現へと変貌します (とは言え、決して空間表現力が優秀というわけではないので注意。)。壁の感覚の消滅により、 空気感や音が空気を伝わり広がっていく感覚も改善されます。決して広いとは言えない音場の広さですが、 リアリティ溢れる臨場感は素晴らしいです。edition9の音場表現に関しては長時間エージングによって改善されることを 念頭に置いておく必要があるでしょう。さらに、この音場表現、又は空間表現の改善により様々な点が改善されます。 e9-1の時は明確でカッチリした音場の影響もあり、各楽器の音がとてもメリハリがあり際立つ鳴り方であると強く感じます。 これが、e9-2になると明確さ、メリハリ、ハッキリ感、密な感覚は多少薄くなるものの、 音の繋がりが良くなり(改善された空気感により音と音の間接空間を音が繋ぐようになり)耳障りが良く聞きやすくなります。 これは微妙な変化なようですがとても重要な変化です。Voや楽器の音もより自然な響きを伴うようになり改善されたと言えるでしょう。
合うジャンルはメタル、ロック系、特にモダンヘヴィネスやラウドロックなどの低音の重みを出せると生きるジャンルには最適。 ジャズもそこそこいけます。特にメタルでは、イイ部分を存分に引き出せているように感じます。 重く濃密な低音を鳴らす機種としてGRADOのPS-1がありますが、PS-1に並んでメタルにマッチしている機種だと言えるでしょう。 (低域表現の違いを端的に示すなら、空気感による響きを伴う低音のPS-1、高解像度・タイト・実体感のある低音のedition9)。 重くてタイトなバスドラ、ブリブリのベースは圧巻で、情報量が多く濃厚で凝縮された音作りもメタルのパワフルさ、 重さを引き立ててくれます。音場の狭さの影響を受けにくい小編成のジャズや、クラシックの中でもピアノソロなどでは使えると思います。 e9-2になるとグっと合うジャンルが増え、メタル以外のジャンル(ポップス等)でもかなりの高いレベルで実力を発揮してくれます。 ただし、それでも大編成のクラシック、女性Voモノには向いている機種ではないように思います。
高いレベルでバランスがとれており、上質な低音と高分解能が特徴な機種と言えます。 特にヘヴィーメタル、ハードロックを聴く人には強くオススメしたい機種です。音に関しては不満はありませんが、 値段のわりにチープな作り及び装着感はなんとかして欲しいものです。edition9は二度美味しい機種です。 長い時間かかるエージングを楽しむという意味でも新品で購入したほうが価値がありそうです。 e9-1のメリハリ感の際立つカッチリしたモニター的な音、e9-2の音楽的といえる生の宿る音。どちらもそれぞれ良さがあり楽しめると思います。
ダイナミック型の最高峰と呼ばれ脚光を浴びながらも、 企画台数の販売終了により惜しまれつつ市場から姿を消したEdition7の後継モデル。 EDITION7と比較し、定価は半額程度ながらも性能はほぼ同等との評価を得られているようだ。
モチモチとしたイヤーパットはいかにも高級素材といった手触り。 鏡面ハウジングは美しく高級感があるが、やはり傷が付き易そうで扱いに気を遣う。 側圧は強めで耳にぴったりフィットするが、やや本体の重量感がある為、長時間装着していると 頭頂部が痛くなってくる。
すごくインパクトのある音。解像度は最高レベルで、音の細部まではっきり聴き取れる。 一つ一つの音が非常にリアルで実体感があり、尚且つ他の音との分離も極めて良い。 バランスはややドンシャリで、攻撃的な音だと感じる。
いかにも密閉型といった音場で、ハウジングの壁も感じる。 狭い空間の中で濃密な音が自己主張をし合っている印象で、 インパクトこそあれど、ソースによっては窮屈に感じることが多々ある。 密閉型の中でもDX1000やCD3000など、密閉型ならでの音の響きを楽しめるモデルが存在するが、 Edition9に関しては密閉型の悪い点ばかりが目立ってしまっている。
原音重視型で、音への味付けはない。 従って、音色の艶やかさや柔らかな余韻の付加を期待することはできない。 その反面、一つ一つの音が本当にリアルで強烈な存在感をアピールしている。 特に低域は圧巻で、弦の振動まではっきりと聴こえるほどのビシビシと締まったベース音を聴き取ることができる。 高域については少し主張しすぎな印象で、ヴォーカルのサ行のキツさが気になることがあるのが残念なところ。
得意ジャンルはロック・ポップス。クラシックも楽器の音色はリアルで良いが、音場感がイマイチでコンサートホールの 空気感を再現するに至っていない。
音傾向が似ているモデルとしてPS-1が挙げられるが、解像度、音の分離に関してはEdition9が1ランク勝っている。 低域の質感については、締まり具合ではEdition9が上、超低域への沈み込みはPS-1がやや上か。 PS-1は開放型の利点をおおいに活かしており、Editon9のような閉塞感はなく開放感に満ち溢れ、 空間表現力の面においてEdition9を凌駕している。 ギターの音色やシンバルの鳴りなど、PS-1の方が音の爽快感があり、 ロック・メタルに限定するとEdition9よりPS-1のほうが適していると感じる。 それ以外のジャンルではEDITON9のほうが魅力的に感じる。
音場感が重視されるソースでは物足りなく感じることが多々あるが、 その性能は間違いなく最高峰。目に見えるような解像感やビシビシに締まった低音、 そして何より楽器の質量までもを感じられるような、充実した“肉質感”。 この質感はコンデンサー型では決して体感し得ない代物だ。