ビクターのフラッグシップモデル。 これまでビクターのヘッドフォンは良い評価を受けていなかったが、 このモデルによってスポットライトを浴びることとなった。 メーカーの製品紹介ページが非常によくできているので、 興味を持った方は是非とも一度目を通していただきたい。
丸みを帯びた大きなハウジングと分厚いイヤーパットが印象的。 装着感は極めてよく、分厚いイヤーパットが耳に吸い付くようにジャストフィットする。 装着していることを忘れてしまうほどの心地よさだ。 個人的には、Triport、ATH-W1000と並び、最も心地よい装着感だと思う。 ただ、若干重量があるので、人によっては肩が凝ったり首が痛くなることもあるようだ。 また、夏場は蒸れやすい傾向にあるようだ。
「スピーカーシステムを意識した音作り」ということは、少し聴いただけでも理解できる。 一般的な密閉型ヘッドフォンと比べて、遠方から音が鳴っているように聴こえる。 前方定位はしないが、確かに両耳にスピーカーをくっつけているような感覚がする。 音場は広く、立体的な鳴り方をする。
音場が広いヘッドフォンとして有名なCD3000とは鳴り方がかなり異なっている。 CD3000は、一つ一つの楽器の音が大きく広がっていて、音に包み込まれるような印象。 DX1000は、一つ一つの楽器の音の大きさはCD3000より小さいが、遠くから音が鳴っている印象。
密閉型特有の“ハウジングの壁”はDX1000でも感じられ、音の抜けは 開放型はもちろん、CD3000やATH-W5000といった一部の密閉型ヘッドフォンと比較しても良くない。 しかし、遠くから音がなるということと、刺激的な音を吸収するかのような木のハウジングの特製もあってか、 “箱庭的”な鳴りだと感じる。バランスはフラット。低域は厚みがあり前方に張り出してくる。 Fレンジは広いが、価格を考慮するともう一伸び欲しいところ。
木のヘッドフォンならではの音の艶やかさ、滑らかさも十分に感じられる。 m902との接続でも、眠くなるような落ち着いた柔らかい音を奏でてくれる。
得意ジャンルはクラシック・ジャズを中心にアコースティックなサウンド全般。 ヴォーカルものも得意だが、トーンの高い女性ヴォーカルだと、若干キツい音を出すことがある。 女性ヴォーカルよりも、充実した中低域を活かした男性ヴォーカルのほうが魅力的に感じる。
立体的な音場で音色も明るく鮮明で、何より聴いてて心地よい。 CD3000に替わる新たなる密閉型の名器の誕生と言っても過言ではないだろう。